リピーターを増やすセオリー 日本一の自転車屋とリッツカールトンの共通点 

 自転車屋でもホテルでも、リピーターを増やすセオリーは同じです。
「お客様とお客様の使う商品のメンテナンス」と「NOと言わないで考えられる最善を尽くすこと」
この2つを徹底的にやっていけば、どんな業種でもそのような業態でも必ずリピーターが増えていきます。 

 

2011年12月20日

 

サイクルベースあさひ

社名       株式会社あさひ
代表                   下田進
所在地    〒534-0011 大阪市都島区高倉町三丁目11番4号
事業内容             自転車及びパーツ、アクセサリーなどの関連商品の販売、各種整備及び修理などの付帯サービスの提供
創業        昭和24年4月
資本金       20億6,135万円(2011年8月20日現在)
売上高も     290億円
従業員数             873名(パート・アルバイト除く)

 

1.背景  顧客からみて当たり前のことが提供されていない業界

開業当時、あさひにはお客様が来ず、苦労していた。
当時、自転車の販売といえばスーパーやホームセンターの量販店であったが、ほとんどが売りっ放しで、故障しても専門スタッフもおらず直せない状況だった。
そこで、下田社長は、専門スタッフを配置しアフターサービスを充実させた販売や店作りに取り組んだ。

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1982年10月 – 「サイクルベースあさひ」1号店(千里店)を大阪府吹田市にてオープン。
1989年11月 – 初の大型店舗を大阪府寝屋川市にオープン。
1992年5月 – 現在の「株式会社あさひ」に商号変更。
1994年10月 – 初のフランチャイズ店舗を大阪府貝塚市にオープン。
1997年10月 – WEB上に店舗を開設し、インターネットを利用した通信販売を開始。
2004年8月 – 日本証券業協会に株式を店頭登録。

 

1970年から1980年にかけて自転車の保有台数が2倍なっています。

この当時、総合スーパーマーケットやホームセンターの増加と共に、自転車保有数が急激に増えました。
ドロップハンドルの自転車が出てきて、自分で自転車をいじる人が増えました。
このとき、スーパーの台頭と共に街の自転車屋さんが減っていったのです。
そして、自転車数は増加するのに、修理ができる職人さんは減っていったため、修理が出来ない状態が広まっていました。

あさひ自転車は、自転車が普及した1982年に創業しています。
その後マーケットは、現在まで少しずつ増えるのみで急激な伸びはありません。
つまり、今持っている自転車を修理しながら使う人と買い換え需要の時代に入ったと言うことです。
修理と、自転車に対する個別の要望が出てきていたのです。

この状態に目をつけたのが、あさひ自転車だったわけです。
あさひ自転車は、この少しずつ成長しているマーケットの中で急激に成長してきています。

急激に成長してきた理由は2つあります。
・1つは、固定客の確保です。修理に力を入れることで、リピーターを増やし継続してあさひ自転車を使うお客様を増やすことに成功しています。たとえ他社の自転車でも修理し、パンクなら10分以内で完了させました。そして、修理料金も店内に明示し、安心して修理を頼めるようにしたのです。
・もう一つは、できるだけNOと言わないことです。お客様から頼まれたことは、一度はすべて受け、やってみるというスタンスを貫いています。

これが、あさひ自転車発展のスタートだったのです。

 

この成長してきた2つの理由は、現在でも通じるものです。

「メンテナンス」「NOと言わない」

たとえば、あの世界一のサービスのリッツカールトンホテルも同じです。

ザ・リッツ・カールトンならではのサービスポリシーは、「ノーと言わないサービス」です。
「お客様の要求に対して、機械的に対応することは誰でもできるだろう。しかし、それでは満足なサービスとは決して言えない。たとえ無理な頼みごとでも、単にノーというのではなく、代案を考えることが求められるのだ」

そして、一人一人のお客様の枕の堅さから天ぷらの食べ方まで好みを徹底的にデータベースに集め、来店するたびによりお客様好みのホテルになっていけるようになっています。

リッツカールトンホテルの商品は、ホテルでの部屋やレストラン、フロントなどでの「体験」です。このお客様がする体験を常にメンテナンスしてよりよいものにしています。あさひ自転車は自転車のメンテナンスをしているのと同様に、リッツカールトンホテルはお客様の体験をメンテナンスしているわけです。

 

 

 

 

2.リピーターを増やすためにあさひ自転車がやっていること

①徹底的に清掃が行き届いたきれいな店舗にする
社長が店舗を見て回り、汚れていれば水から掃除をして回る

②自転車を大量に陳列をする
壁に、立体的に交差させ陳列させ、圧倒感をつくる。
1店当たり、800~1,000台を展示する。

③圧倒的な品ぞろえにする(数と種類の多さ、PBブランドによる低価品)

④全ての社員に自転車に関する資格を取得させる

⑤メンテナンスを充実させる

 

3.メンテナンスを充実させる

・通信販売のお客様には、6ヶ月目と12ヶ月目に店頭で無料点検をつける
・パーツは自転車との同時購入により、取り付けも無料にする
・サイクルメイト会員制度を設ける。
会員になったお客様には、2年間の盗難補償、修理代金(工賃)とパーツ代金の10%OFF、無料の定期点検サービスなどの特典を付ける

・修理でブレーキを直す場合、ブレーキだけではなくチェーンのサビの掃除、タイヤの空気圧の調整、壊れていたサイクルコンピューターなどの取り付け直しもできるだけしてあげるようにする

・修理は短時間で行い、お客様に引き渡す時にはメンテナンスのポイントなども教えてあげる

・有資格のスタッフが、すばやくサービスを行い(パンク修理10分以内)、価格もはっきり料金表に表示する

・修理、整備の価格は、390円のサンキュー価格とし、お客様が頼みやすい価格設定にする

・部品を購入して自分で取り付けると、工賃は無料になる
この場合、自分で取り組みお客様に対し、部品選びから取り付け方まで相談にのり支援をする。

 

4.すべての従業員に資格を取らせ、高い技術力を維持する

・入社後2年を目処に「自転車技士」「自転車安全整備士」の資格取得を義務付けしており、適正な知識と技術力を有する人材の育成に注力する

・社員はほぼ全員、「自転車組立整備士」または「自転車安全整備士」の資格を取得

・接客マナーや商品知識に関しても、「販売士」の資格取得をすすめている

 

5.人材の確保と育成

・人材教育に力を入れている

・新卒100人前後を採用にたいし、離職率は2%に止まっている

・従業員は、自転車好きが集まっている

 

6.豊富な品揃えをする

・店舗に、約800台~1,000台の自転車を並展示する
価格や色、デザイン、体格や用途に合わせ適切なものを選ぶことができるようにしている。

・GIANT(ジャイアント)、LOUIS GARNEAU(ルイガノ)、RITEWAY(ライトウェイ)、BRIDGESTONE(ブリジストン)などの有名メーカーの自転車も取りそろえる

・サイクルベースあさひ(あさひ自転車)の自社ブランド製品も販売する
プライベートブランドによるコストバリューの高い商品を開発し、販売している。

・アクセサリやパーツ類も品揃えを充実させる
ヘルメットや手袋、サドル、泥除け、各種メーター、空気入れ、LEDライト、タイヤ、チューブ、ブレーキパッド、パンク修理キット、パンクj防止剤、リアバッグ、サイドバッグなどなど、ありとあらゆる関連商品を取り揃えている。

 

7.成果

・2011年2月16日時点の店舗数233となり、10年前の5倍になっている

・売上高も290億円前後となり、5倍になっている

・年間販売台数は100万台を超え、自転車業界全体販売数の10%を占めている
(ユニクロの国内売上高は衣料品市場全体(約9兆円)の10%)

・閉店数が増加の一途をたどる「自転車屋」の中で売上を伸ばし続けており、東証一部上場を果たしている

 

リピーターを増やすには、新規のお客様を増やすことと、その中からファン顧客を作っていくことの2つのステップが必要です。その新規のお客様を増やす第1ステップが、「NOと言わないで考えられる最善を尽くすこと」です。地域で、あのお店はなんでも相談にのってくれると言うイメージが出来れば、初めてお店に来る人でも安心してくることが出来ます。次に、「お客様とお客様の使う商品のメンテナンスのデータをためていくこと」で、お客様にしてみれば来ればくるほど自分好みのお店になっていくように感じられます。毎回、少しずつ期待を超えるとお客様の習慣になりやすく、ファン顧客を作る良い方法です。「NOと言わないで考えられる最善を尽くすこと」
「お客様とお客様の使う商品のメンテナンスのデータをためていくこと」

 

 

 


工藤 英一

About 工藤 英一

Qualia-Partnersの代表の工藤です。ゼネコンの研究員から会社経営を経てコンサルタントになりました。自身の経験から、リピーターとの関係を深めお得意様を増やしていくことを強く勧めています。
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