当り前価値と付加価値

商品やサービスには、お客様が「当り前と思う品質や価格、機能」があります。そして、お客様が、「これはスゴイ!これは良いと思う」部分があります。前者が当り前価値で、後者が付加価値です。

 

上の図は、表層サービスと本質サービスの図です。

本質サービスとは当り前価値を創りだすものです。お客様が当然受けられると思う価値を創りだすサービスです。このサービスはいくら多く提供していってもお客様の満足は頭打ちになります。しかし、怠ると強い不満を感じさせてしまいます。あって当り前であり、このサービスをきちんとすることで、お店が守れます。

そして、表層サービスはお客様を満足させる付加価値を創りだすサービスです。これが、お客様の満足を向上させ、お店のファンを創りだしていきます。サービスを多くすればするほど満足度はどんどん向上していきます。このサービスが売上を伸ばします。

 

それでは、繁盛している会社は実際にはどのようなことをしているのでしょうか?

■ スターバックススターバックスは、

簡単にいえばただのコーヒーSHOP です。しかし、同じコーヒーSHOP チェーン「ベローチェ」の2倍近い価格でコーヒーを売っています。それでも売れるのですから驚きです。スターバックスのコンセプトは、「サードプレイス」、以前は「都会の中の書斎」でした。コーヒーは美味しく、店員さんも明るく挨拶もよく、気持ちいい感じです。店内の照明は少し暗く絵が飾ってあり、音楽も程度に静かで落ち着いた雰囲気を醸し出しています。店の奥にはソファーが置いてあり、まるで、応接間のようです。コップは、紙コップが用意されており、コップのカチャカチャした音もしません。とてもくつろげる空間です。

コーヒーが当たり前価値で、付加価値として空間を売っています。

 

■ サウスウエスト航空サウスウエスト航空は、

アメリカの国内線です。とても健全な経営をしていて、あの9. 11 事件の時にも、ほとんど飛行機会社が保有飛行機を売りに出し、従業員を解雇したのにも関わらず、一切従業員の解雇や保有飛行機を減らすことはありませんでした。飛行機代はとても安く、時間通りきっちり運行されています。しかし、機内サービスはほとんどありません。その代わり、ユーモアを提供してくれます。搭乗して自分の席に行き、荷物を上の荷台に入れようと蓋を開けると、そこからスチューワーデスがでてきたり、搭乗手続きでさんざん待たされイライイラしていると、いきなり手続き作業をしていたスチュワーデスが白い大きなパンツを手で上に持って、「これは誰のですか~?」と大声で言っています。並んでいたみんなは大笑いです。そして、同乗のお客さんたちは大抵、短い旅の間に隣どうし仲良くなってしまいます。

当たり前価値は、安全で時間通りに運行すること。付加価値は、楽しい飛行機旅行の体験です。

 

■ ダイソーはあの100円ショップのダイソーは、

昔はただのスーパーの前でこぢんまりと開いていた100円の安い雑貨出店でした。まじめに商売をしていましたが、売上も少なく店じまいを考えていました。そんなあるとき、主婦が「こんなの買っても、どうせ安物買いの銭失いよ。やめなさいよ。」と話しているのが聞こえてきました。頭にきた社長は、100円で仕入れた商品を100円で店に並べたのです。すると、店に来たお客さんたちが驚きました。「これが100円なの!?」。 すると、安く仕入れた他の商品までもが売れ出したのです。その後も、100円で仕入れた商品を100円で売り続け、今に至っています。今では、驚きとともに、ものすごく多数の商品を揃え、買い物の楽しさを提供しています。

当たり前価値は、普通の雑貨店。付加価値は、驚き。 ※付加価値は、単なる安さではありません。単なる安さなら、安く仕入れたものまで売れるようにはなりません。

 


ドンキホーテは、ものすごく多くの商品を山の用に雑然と積み上げ、意外な商品が出てきたりし、「探すワクワク感」を提供しています。
ホンダは、「夢」提供しています。2輪や4輪のレース(F1)に参戦し好業績を出し続けることにより、ただの乗用車ではなく、レースの技術が活かされているという「夢」を感じさせています。ロボットのASI MO の開発も同じです。鉄腕アトムを夢見て開発がスタートしています。
ベンツはというと、高い高級感や持つステータスを提供しています。ベンツに乗っているというだけで、優越感を味わえます。
アップルはというと、独自の高機能とスタイリッシュなデザインをとおし、感性の高い人たちに支持されています。
ディズニーランドは、遊園地のファンタジーを提供していますが、同時に高いホスピタリティーを提供しています。

 

これらのどの会社にも、当り前の価値と高い付加価値があります。当り前の価値をきちんと提供し、その上に独自の高い価値をのせています。これらの価値は商品のように見ることも手に取ることも出来ません。しかし、確実にあります。そして、顧客の心を動かすものであり、この見えない付加価値を提供できている会社が、顧客から支持されている会社です。

 

■ もし、御社が作ったり販売したりしている商品やサービスから、当り前の価値を引いたら、どんな価値が残るでしょうか?
■ 御社の商品やサービスにおける当り前の価値とはどんなものなのでしょうか?
■ どんな付加価値を提供しているのでしょうか?

 

もし、よくわからなければ、お得意さん、顧客に聞いてみてください。顧客もはっきりとは自覚していないかもしれませんが、必ずヒントを言ってくれます。

「このお店 なんとなく落ち着くのよね」
「懐かしい感じがするのよ」
「あなたには何でも相談できるんだよ」

見えない付加価値、「人の心を動かすこと」、これが売上を伸ばす原動力です。

 

 

 

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工藤 英一

工藤 英一 について

Qualia-Partnersの代表の工藤です。ゼネコンの研究員から会社経営を経てコンサルタントになりました。自身の経験から、リピーターとの関係を深めお得意様を増やしていくことを強く勧めています。
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