新商品開発 第1章2)スティーブジョブスのすごい妄想力?

「使ってみたら誰もが感動して嬉しくなる」 そんな素晴らしい「使用感」を妄想すること、これがヒットする新商品開発の第2歩です。

 

2)スティーブジョブスのすごい妄想力?

スティーブジョブス

 

■スティーブジョブズも真似からスタート

ある世界的なコンサルティング会社が、過去5年間のヒット商品を調査したところ、
・その多くが先に出ていた商品を応用、改良した商品であったこと。
・また新市場を開拓したものは少なく、既存市場で既存商品からシェアを奪うものであったこと
が分かりました。

ところで、今世紀最も革新的な商品のひとつといったら、ApplesのMac、iPhon、iPadではないでしょうか。

意外なことに、これらの新商品も、既にあった他社の商品をもとに、アップルが人も技術も買収して作ったものなのです。

アランケイ

例えば、Macの開発は、スティーブジョブスがゼロックスの研究所のアイディアを元に、ゼロックスの研究所の研究員と技術を買って作ったものです。

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1973年 ゼロックスの研究所でチャック・サッカーが Alto(パソコン)を開発
1979年 Altoをみたスティーブ・ジョブズはLisaの開発にそれらを取り入れることに決定
1980年 ゼロックスの研究所の主要な研究者を引き抜き、さらに、AltoのGUIを使用する権利も購入してMacを開発。
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iPhon、iPadの開発も、他社が開発したあとに、フィンガーワークス社を買収して手に入れたマルチタッチ技術を組み入れることで開発しています。

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1993年 Apple社 ペン入力のタブレット型パソコン開発
「Newton MessagePad」 売れずに失敗
※1991年の ピエール・ウェルナーの研究を元にフィンガーワークス社がマルチタッチ技術を1999年から2005年の間に開発。
2005年  アップルがフィンガーワークス社を買収
2007年  iPhonを発売
2009年 HP「TouchSmart tx2」や Microsoft「Windows タッチ」を開発
2010年 NECが「Valuestar W PC-VW670WGシリーズ」が開発。
Apple社が iPadを開発し発売する。
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■ヌレンザも妄想の賜物

実は、画期的な素晴らしいと思われている新商品も、既にあるアイディアや商品を真似をし、技術も既存のものを取り入れて作っているのです。

スティーブジョブスが凄かったところは、「みんながどのような使用感であれば飛びついてくるのか」を想像することができたことです。

そして、その使用感を実現するために、必要な技術をなんとしてでも集めてきたのです。

技術者が、「技術的な○○な理由で難しいので仕様を△△に変えて欲しい」といってきても、喧嘩してでも一歩も引きませんでした。

新商品を開発するとき、社内にある技術で作れる商品を開発しがちですが、先に「こういった使用感の商品」が欲しいと理想をイメージし、それを作るために技術を持ってくるのです。

 

クレームから開発されたヌレンザも同じ発想で作られています。

「雨の日に傘をたたんで急いで電車に飛び乗ったとき、傘は一粒も水滴がついておらず、傘が隣の人のズボンに触っても全然濡れない。まるで、傘など持っていないような気持ちで、周囲の人など気にする必要も無い」

「雨の日に、傘を差してきて車に乗るとき、傘をたたんで座席にポンと置いても、まるで雨は降っていなかったかのようにシートが全然濡れない」

そんな夢のような使用感の傘を作るために、超撥水の生地を地元の企業と共同で開発して傘にしています。

 

使ってみたら「誰もが感動して嬉しくなるような素晴らしい使用感」を思い描くこと、これがヒットする新商品開発の第2歩です。


■全国商工会議所用小冊子WEB版 「新商品新サービス開発&販路開拓」  目次
第1章 新商品開発の非常識
1)他人が欲しがるものが新商品
2)スティーブジョブスのすごい妄想力?
3)買って使って感動してまでが新商品開発です
4)本当に良い新製品を開発できたと思ったらアメリカで売りましょう
5)新商品のこえるべき3つの絶壁
6)いくら宣伝しても「売れない商品」は売れません
第2章 新商品の販路を切り拓く
1)9つの販路開拓成功物語
2)販路開拓の基本のキ
3)バイヤーに会う方法と小売店に直接売り込む方法
4)東急ハンズとロフトのバイヤーへの売り込み方
5)バイヤーは常にヒットの芽を探しています
6)ヒットするのはバイヤー目線よりお客様目線
第3章 新商品のコンセプトを作る10の方法
1)トレンドを無視してヒット商品はつくれない
2)新商品を開発するときの3つ基本戦略
3)不満・悩みから新商品を考える方法
4)ヒット商品から新商品を考える方法
5)他人のアイディアから新商品を考える方法
6)「変わった使い方をしている方」を見つけて新商品を考える方法
7)ヒットのパターン例から新商品を考える方法
8)オズボーンのチェックリストを使って新商品を考える方法
9)新サービスのコンセプトの作り方
10)キーワードから新サービスを考える
11)最も強力な新商品の開発方法 「すべて真似る」
第4章 すごい製品を開発する
1)新商品開発でどのコア技術を磨けば良いのでしょうか?
2)定食屋さんやケーキ屋さんの新商品開発のコツ
3)常連さんを増やすことをダイレクトに狙った新商品の開発方法
4)新サービス開発を成功させる要
5)ヒットメーカーはすごい技術を外から持ってくる
第5章 すごい製品をヒット商品に仕上げる
1)製品を売れる商品に作り込んでいく
2)90点になるまで絶対にあきらめない
3)新商品のネーミングと隠喩
4)短時間で簡単に誰でも良いデザインを作る方法
5)新商品に高い信頼性をつける
6)正しいお客様をとことん楽しませ話題を作ります

 

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工藤 英一

工藤 英一 について

Qualia-Partnersの代表の工藤です。ゼネコンの研究員から会社経営を経てコンサルタントになりました。自身の経験から、リピーターとの関係を深めお得意様を増やしていくことを強く勧めています。
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