行動を観察してニーズを見つけ出す方法

 

ニーズは、欲求を満たしてあげることとも言えます。ニーズは、行動からは直接出すことは難しいので、一旦、欲求に置きなおし、欲求をニーズ=「お客様がこうしてほしいと思っていること」に置き換えていきます。

 

1.買い物の90%が衝動買いですが、どの店に行くのかは衝動ではありません

お客様は、カテゴリー(外食なら、すし、肉、洋食、和食のどれか)の中から、目的(単なる暇つぶしも目的の一種)に合わせて一番いいお店を選んでおり、寿司を食べに行くと決まればいつもの回転すし屋に混まないうちに行きます。

そして、何を買うかは、お店に行ってから衝動的に決めます。
※どれを買うかの87%はその場で決めています。購入の意思決定はその4分の3が店内で行われ、計画されていた購買行動の約1割が中止されます。

そのため、私たちは、お客様の頭の中にあるカテゴリーの中で、一番店にならなくてはなりません。一番店しか思い出してもらえないのです。逆に言えば、一番店にはお客様が集中します。
※街道沿いの回転すし店なら、半径2kmの地域で一番店です。

 

2.お客様は、何を買うかということと共に「欲求」も満たそうとします。

一番下に、お店のお客様に関連しそうな欲求を上げてあります。
お客様が下記のどの欲求を持っているのかを、行動から考えます。

たとえば、ママさんと子供向のためのマッサージ店の場合には、ママさんか下記のような行動をします。
「話をしたがり、また、子育てに関する質問も多いです。さらに、いつも子供を自分の見える範囲においておきたがります。できれば、手の届く範囲においておきたがります。」
これらの行動を欲求に当てはめてみると、
「自分の話を聞いてもらい、頑張っているのを認めてもらい、励ましてもらいたい。さらに、子供を常に守っていたい。」
といった、複数の欲求を同時に満たそうとしていると考えられます。

イタリアンレストランの場合でも同じです。
「50歳代のご夫婦は、いつも奥さんがカウンターの一番奥に座り、右側の他のお客さんと並ぶ側に夫が座ります。そして、食事が終わっても帰ろうとはせず(旦那さんは帰りたい感じです)、レストランのオーナー夫婦となにか話したがっています。」
これらの行動を欲求に当てはめると、
「安全でいたい、守ってもらいたい、一緒にいたい、自分の話を聞いてもらいたい、好奇心を満たしたい、笑いたい」
といった欲求が当てはまります。

遅くに一人でこられるお客様の場合には、これの逆で、
「お店に来ても、人と話さず、一人でカウンターでパスタやチーズを食べながら静かに飲んでいます。」
つまり、「一緒にいたい、認められたい、自分だけの空間が欲しい」といって、相反する複雑な欲求を持っています。

 

3.欲求からニーズを出していきます。
次に、欲求をニーズに言い換えていきます。

たとえば、ママさんの欲求は、
「自分の話を聞いてもらいたく、できれば頑張っているのを認めてもらい、励ましてもらいたい。さらに、子供を常に守っていたい。」ということでした。

この欲求を満たすには、「相談によくのり」、「励ましてあげ」、「子供を近くに置きながらマッサージできるようなマットを使い」、「子供に何かあったらすぐに中止しその時間は料金には入れないようにすれば良い」と考えられます。

これをニーズとして言え換えれば、
「会話や相談にのっていただきたいこと」、「子供を近くに置きながらマッサージをしてほしいこと」、「子供に何かあったらマッサージを中止し配慮してほしいこと」
となります。

同様に、
・ご夫婦の奥さんのニーズは、
「旦那さんに配慮しながら自分の話を聞いて欲しい」、「若いオーナー夫婦との会話を楽しみたい」ということと考えられます。
・一人で来られた方のニーズは、
「ほっといていながらも、ワインがなくなればついだり料理がなくなれば追加注文を聞いたり、それとなく気を配ってほしい」
ということだと思います。

 

 

4.欲求リスト(齊藤 勇の分類を参照 )

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親和欲求        他人と一緒にいたい。自分の話を聞いてもらいたい。
擁護欲求        他者を助けたい。守りたい。
救援欲求        人に助けたり励ましてもらいたい。

集団欲求       集団に属したい。
同調欲求        みんなと同じことをしたり、憧れる人の真似をしたい。
服従欲求       自分より力があったり頭のいいひとに従いたい。権威あるものに従いたい。
自己顕示欲求    周囲から注目されたい。
優越欲求            他人に尊敬されたり感謝されたい。
承認欲求            周囲の人に認められたい。

回避欲求        失敗したくない。失いたくない(若さ、美貌)。
対立欲求        人と同じことはしたくなく負けたくもない。
不可侵欲求    自分だけのテリトリーがほしい。他人と話したくない。
変化欲求          いつもと違うことや、現状を変えたい。

達成欲求        目標を達成したい。最後までやり遂げたい。
成長欲求        自分を成長させたい。
探知の欲求     好奇心を満たしたい。

遊技欲求        楽しいことをしたい、面白いことをしたい。
感性欲求        感動したい。美しいモノを見たい。聞きたい。感じたい。
収集欲求        沢山集めたい。

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私たちは、お客様のニーズを満たすことばかり考えていますが、ニーズは欲求から生まれてきているものなので、「お客様の欲求を満たす」ということが私たちの本来の目的のはずです。 

また、一人のお客様の欲求は複雑で、複数だったり、相反する欲求が混在していたりします。そのため、ニーズを満たしても欲求は満たせない場合があります。お客様の欲求、、、非常に人間臭いところですが、ひとの欲求を満たすことが、リピーター、お得意様を増やす正解だと思います。

 

 

 

 

 

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工藤 英一

工藤 英一 について

Qualia-Partnersの代表の工藤です。ゼネコンの研究員から会社経営を経てコンサルタントになりました。自身の経験から、リピーターとの関係を深めお得意様を増やしていくことを強く勧めています。
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