高齢者をお客様に商売をする方法

 

若い時の気持ちと現実とのギャップを埋めるのが高齢者商売のコツ。体は70歳でも、頭の中は30歳!

1.若い人以上に細かく分かれるのが高齢者です。

■経済と健康状態で見ていくと、4つに分かれます。
経済状態  良い   健康状態 良 い 65.7%
経済状態  良い   健康状態 悪い  9.3%
経済状態  悪い   健康状態 良 い 20.5%
経済状態  悪い   健康状態 悪い  4.5%

この中で、お客様になっていただけるのは、経済状態も健康状態も良い方です。
経済状態が良くて健康状態が悪い方の場合には、お子さんなど世話をしている方が商売の相手になると思います。介護や世話をするのを助けるサービスです。

 

■また、高齢者といっても様々で、健康や体力のことを考えると普通の人よりも様々なタイプに分かれます。
一人住まいの高齢者、夫婦二人暮らしの高齢者、子供夫婦と孫と一緒に住んでいる肩身の狭い高齢者、元気な高齢者、体力の落ちている高齢者、病気の高齢者 など細かく分かれます。

 

2.お年寄りの気持ちの流れ
①気持ちは若いく、若い時のように何でも楽しみたい。
②でも体はついていかない。
③フォローが欲しいが、年寄り臭い年寄り扱いされるのは嫌い

 

■若者と同じな元気な高齢者
元気な高齢者の方は、70~80代でスキーや山登りを楽しまれる方もいらっしゃいます、60歳を超えて毎日のようにサーフィンしに行っている人もいます。ゲーム店でゲームを楽しむ人もいます。70歳の夫妻も、年寄りたちに親切な店に1日おきに行き、夫はゲームを約6時間、奥さんは買い物とビデオゲームを半分ずつ楽しんでいます。お気に入りはアナログ方式のゲームです。若者とかわりません。

 

■お年寄りも若い時と同じように楽しみたいと思っています
・いろいろな服を着てみたりしてショッピングを楽しみたい
・韓流スターを追っかけたい
・海外にもまた行ってみたい
・美味しいものを食べたい
・また生きがいを感じたい
・若い人みたいに服や髪をきれいにしておしゃれをしたい
・バス旅行にいってカニを食べたい
・友達と一緒に食事やショッピングを楽しみたい、
・健康のためスポーツや体を動かすことだってやっておきたい

 

■一方、高齢者はいろいろなことに困っています

①健康不安
「栄養のバランスがとれない」、「塩分の高い惣菜ばかり」
「高血圧で塩分を減らさないと、でもうす味はまずい」
「糖尿病でカロリーや糖質のコントロールが必要」
「おもらしが心配で出かけられない。トイレが気になって安心できない。洋服や着物にしみがついたらどうしよう。」

②体力低下
「買物が大変」、「道路に段差があったり、道路が狭い、滑りやすい」、「日常の買物に歩いて行くのが不便」
「電球が換えられない。」
「缶ビールやビンの蓋が固くて開けられない」「ワインの栓抜きもできない」

③コミュニケーション力の低下
「孫と一緒に遊んだり買い物に行きたいけど、嫌われる」
「一人分を作るのは面倒」、「一人で食べてもつまらない」、「一人で出かけるのはおっくう」
「毎日することがなくて退屈。夫と話すこともないし、家でテレビを1日見ていてもつまらないし。」
「耳が遠くて相手が何言っているのか聞きとりずらい」

④認知力の低下
「店で売っている食品は味があわない」、「美味しいものがない」
「テレビや携帯の使い方が分からなくてめんどくさい」、「作りすぎてしまい腐らしてしまう」

 

■でも、年寄り扱いされるのはかなり嫌い

「元気な高齢者の一人暮らしの寂しさがわかるか」
「老人会には入りたくない」
「70歳になると一律に杖を送ってくる役所に腹が立つ」
など元気な高齢者は年寄り扱いされるのがかなり嫌いです。

「お弁当定期的に持ってきてもらいのは、動けなくなってからでいい」
セブンイレブンやワタミでやっている宅配のお弁当も同じ理由で敬遠する高齢者が多いです。

 

 

3.高齢者向けの傾向と商品やサービスづくり

■高齢者の好みの商品やサービスは、自分より若い人が利用している商品やサービス

栄養を考慮したお弁当は買わない
→ ピザや寿司、ラーメンなど若い人が好むものを買う。
→ 美容を気にする人向けの、低カロリーのピザ・低塩分のラーメンなど
→ 出来立てで少しの量でも買えるバイキング方式の惣菜

シニア向けの楽な服や靴は買わない
→ 40~50代向けのブランドの服や靴を買いたがる。
→ 高齢者の体形に合わない場合、着やすいようにその場で仕立て直してくれる。
小さいサイズ、上下別サイズを用意する。
ボタンを使いやすい大きいものに付け替えてくれる。
左右の足の形に合わせて、左右別々に形を調整してくれる。など

 

■「シニア向け」として商品やサービスを作ったりうたったりしてはいけない
シニア世代の年齢に対する意識は、実年齢より若いので、シニア向けと聞いただけで避けます。
→ 美容や健康、エコなど年代に関係ない一般的な志向にする

 

■誰にでも分かりやすく簡単に力が要らず使えるユニバーサルデザインの製品やサービスを好む
体力の低下や体形が変わっていることは自覚しているので、誰にでも使いやすくデザインされたものなら使ってももいいかなと思う。(高齢者のお客様的には妥協案)

 

■情報は信頼できる身の回りの人から取り入れる
身の周りの地域情報などは、家族からの口コミが有力な情報源となっています。
→ 家庭の奥様に高齢者に役立つ情報を提供する。携帯メルマガなどのトピックスなどに入れ込む。

 

■DMやチラシでは高齢者は集客できない
ダイレクトメール(DM)や折り込みチラシはあまり見ません。
→ 直接会って手渡したりして直接話す機会をこまめに作ることで、信頼度が高まります。
※牛乳屋さんなどで手渡しを心掛けて業績を伸ばしているところが見受けられます。

 

■郵便局の封筒やカレンダー・ポスター・パンフレットなどに広告を出すと信頼感が増す
郵便局はお年寄りの信用がとても高いので、郵便局の封筒やカレンダー・ポスター・パンフレットなどに広告を出していると高齢者からの信頼感が上がるかもしれません。※郵便局をサービスの告知拠点に利用して、シニア向けにアルバイト・パート情報を紹介する事業がある。

 

■高齢者は通い慣れると信頼感が高まる=あまり新しいもの好きではない
高齢者は行動半径が狭く、何か困った時に電話1 本で対応してもらえる近く(自宅から300 m以内(500mでは遠い))の小売店を好む。
→ 電話一本ですぐに対応することで、500m以上遠くの高齢者もお客様にすることができる。商圏が広げることが可能。

 

■「食事制限がある病気」にかかっている人が多い
高血圧で塩分、糖尿病でカロリーや糖質をあまりとらないようにする必要がある人が多い。食事制限があるとパッケージツアーに参加できず、自分で塩を減らしてくれと頼む気にもならないし、持病があると保険にも加入できない。無理に行って万が一のことがあったらどうすればいいのかわからない。
→ 旅行、バスツアー、レストラン、ホテル、居酒屋など食事を出す商品に全て言えること。
例えば、「すべての食事を糖尿病&高血圧対応にします。安心してください。」というツアーもありえる。

 

■足腰の力が低下している
歩くスピードが遅く、杖が必要。歩ける(移動できる)距離が短い。

旅行 → 1日で回る観光地の数を半減し、自由時間をたっぷり取る。ゆっくりしか歩いてのんびり観光できるようにする。
小売店 → 通路が広くて歩きやすい、文字が大きくて見やすい、籠やカートもなんでも軽い、重いものは運んでくれるサービスがある、休憩できる場所が多い。
デパート → 歩き回らないで欲しい商品が見つけられる。商品をブランドごとに置く(箱置き)のではなく、使用シーンやカテゴリーごとに様々なブランド商品を置く(平置き)ようにする。セーターならセーター売り場に全てのブランドのセーターを揃える。

 

■腕の力が低下している
→ 軽い籠、軽いアルミのカート
→ 容器をもっていくと、ワイン、カンズメ、ビンなど蓋が開けにくいものをその場で容器に入れ替えてくれる。
→ 頼むと家まで買ったものを運んでくれる
→ 電球交換など危ないところの作業をしてくれる

 

■食が細くなっている+計画性が低い
量を作って冷凍して後で食べるということができなくなっている。
→ その時に必要なものを必要な量手に入れられるようにする。
→ 1日で使い切る量を基本に小分けして提供する。
※採算性が悪くなりますが、毎日来てくれるようになることで、回数が増え年間購買金額も増えます。

 

■「トイレが近い」という不安感が強い
・トイレに行きたい時にすぐに行ける=近くにあり、どこにあるか分かりやすい。
・使いやすいトイレ:ボトル石鹸も常備してあり上から押し付けるタイプのボタン式になっている、手すりが付いている、きれいで広めになっている 洋式シャワーになっている 尿もれパッドや紙パンツを交換することができる

旅行→ トイレ休憩を必ず2時間ごとに入れる
店 → トイレの数を増やし、案内を大きな字で分かりやすく出しておく。

 

■話し好き
→ お店の入口に「お客様歓談室」を設置する。座れてお茶なども飲め、持ち込みのお菓子が食べられる
※年間の繰り返しの購入を考えた場合、じっくり時間と手間をかけて高齢者にお得意様になってもらう方が、若い人よりも売り上げや利益が高くなる。

 

■親切にされると弱い
家族の意見に耳を傾けるのですが、親切にされると「いい人」と思ってしまいがちです。

 

 

■一人行動に慣れていない
夫を亡くして一人、夫とは趣味が異なり一緒にやってくれない、夫だけ健康が悪いなどで、一人の高齢者の女性が多くいます。しかし、一人でサークルやツアーに参加することはしません。専業主婦だったのでひとりで行動することができません。また、無理して参加して、自分以外はみな夫婦づれという寂しい想いはしたくないと思っています。

→ お一人様参加限定のシニア向けツアーを企画
全員が一人で参加するから、寂しくも情けなくもない。しかも「ひとり参加」の人達はそういうツアーで「旅仲間」を見つけて、次回から一緒に参加したりする。

→ 一人でも気軽に入れるレストラン
※店員さんがお一人様の高齢者によく話しかけてる。
お煎餅屋さんでも、話し好きの40~50代の女性を雇うようにして繁盛しているところがあります。

 

■高齢者向けの商品がないところは、お孫さんへのプレゼント用として提案できます。
服、文房具、IT機器など 少し前までWiiが人気でした。

 

元気な高齢者とは、体は年をとったのに脳は若いままです。お年寄りの中に若い人が入っていると考えると、ちょうどいいと思います。恋愛もスポーツも美味しいものも旅行もゲームもおしゃれも楽したい。金儲けもしたい。ただ、思ったようには体がいうことをきかない。

このギャップを埋めるのが高齢者向けの商売です。

 

 

 

 

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工藤 英一

工藤 英一 について

Qualia-Partnersの代表の工藤です。ゼネコンの研究員から会社経営を経てコンサルタントになりました。自身の経験から、リピーターとの関係を深めお得意様を増やしていくことを強く勧めています。
カテゴリー: 問題解決, 悩み解決案 パーマリンク

高齢者をお客様に商売をする方法 への1件のフィードバック

  1. 福田佳代 のコメント:

    地方の小さな島のNPOで働いています。人口の60%が約60歳以上の超高齢化の島です。橋は立派なものが数年前に架かりましたので船しか無かった昔に比べれば良くなったと思われます。この人口700名弱の島でお年寄りが喜んでくれるイベントができないか調べていたところ、このサイトに行き当たりました。大変参考になりました。「なるほど」と思うことや「やっぱりそうだよね」と思うことが良く分かりました。また参考にしたいと思います。

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