自店にあった商圏を正確に把握する方法

 

どこにお店を開けばいいのかを考えるときに、自店を気に入ってくれそうなお客様が多くいるところをえらぶことが重要です。必ずしも収入の高い人が多くいるのが良いとは言えません。

 

1.小さき範囲から大きく

スーパーマーケットやコンビニエンス・ストア、マクドナルドなどのチェーンストアでは、出店する際には、人口・住んでいる人の年収・年齢層・家族構成・昼夜間の人口・競業他社の有無・交通アクセスの良さ・公園などの周辺施設等を徹底的に調査し、出店するかどうかを決めています。予想売上高も、けっこうな精度で出しています。

人の行動範囲は、結構狭いものです。
歩いていけるのは遠くても500m、自転車なら1200m、自動車なら2000~3000mです。
家にいる人なら周辺500メートルが、買い物に行く範囲で、子供を自転車で送り向かいしているママさんなら、1000位が範囲になるかもしれません。
高級魚の魚屋さんで駐車場があるのなら、自動車で2km離れているところから買いに来るかもしれません。
夜、夫婦で近所のレストランに行くというのであれば500mが範囲です。
もし、おばあさんが買い物に行ったり蕎麦を食べに行くのであれば、300mでも遠いかもしれません。

この範囲で、一番お客様に思い出していただけるお店になることが目標です。
最初はわざと商圏を狭くとったほうがいいかもしれません。
近所の人にチラシをまいて来ていただき、その中から、自店のファンになってくれる人を見つけ育てていきます。
その後、徐々に広い範囲にチラシをまいてくのがいいと思います。

商圏の調査は、「数字を調べる」ことと「住んでいる方の性質を調べる」ことと「他店を調べる」ことの3つです。

 

2.数字を調べる

①その地域の人がどのくらい買っているのかを調べます

商業統計から作られているメッシュデータを用いて、その地域(1km×1km)で、業種別の売上がわかります。
その地域の、既にある同業他社の売上の合計がわかります。
地域のひとがどのくらいを買っているかがわかるわけです。
金額が高いのでさらに買う力があるとみるか、金額が低いので良いお店が出ていないとみるのか、検討のし甲斐があるところです。

 

②国税調査のデータ(GIS)を使った商圏分析をします

国税調査の結果を商圏分析ソフトで分析すると、地域の人口や住んでいる人の年収、年齢層、家族構成、昼夜間の人口などが、地図上に一目でわかります。
しかし、ソフトを買うほどではないので、一定期間だけ借りられるサービスを使います。
※ASPで短期間だけ使います。

 

③市区町村役場などを訪問すればデータは閲覧できます

区役所では、「行政要覧」というものがあり、その町の人口数推移や男女別や年代別の人口構成などを見ることができます。各種の意識調査結果などもありますので、住宅地図と合わせてみると傾向がわかってきます。

地域の図書館や国会図書館には、さらに細かいデータがあります。
これらは、区役所おHPでも見ることができますので、エクセルなどにコピーして分析することもできます。

 

 

3.住んでいる方の性質を調べる

①その地域の人たちの、ライフスタイルや価値観、可処分所得などは、捉えにくいものです。

スーパーや公園、〇〇会館などの地域の人たちが集まる場所があれば、そこに行き、服装や持ち物、話していること、読んでいる雑誌、掲示板のお稽古事などを観察することで、ライフスタイルや価値観、収入などがなんとなくわかってきます。

 

②地域のつながり度合を調べます

つながりが強い場合、口コミが強く働くと考えられます。

地元の警察だしている犯罪発生状況地図(クライムマップ)を見ます。
同じような住宅街なのに、空き巣の犯罪が少ない地域は、隣近所のつながりが強いのではないかと推定できます。

その地域では、口コミでのマーケティングが可能だということです。

 

③ライフスタイルの傾向を調べます

地域に、賃貸住宅が多いのか、分譲住宅が多いのかをみていきます。
同じ子供一人のファミリーでも、賃貸派と分譲派では考え方が大きく異なっています。
賃貸 派の人は、家族構成に合わせて家を換えながら生活を楽しみたいと考えことと、将来何があるかわからないのに購入するなんてリスクが高すぎると考えています。
一方、分譲派は、家賃をいくら払っても、何も残らない、お金を無駄にしているようなものだと考えています。

賃貸派の人は、柔軟、短期的、リスク回避、楽しみ重視、現在志向と考えらます。
分譲派の人は、貯蓄型、長期的、未来志向、老後重視と考えらます。

これらから、たとえば、子供を塾に行かせる傾向が強いのは分譲派、少し高いレストランを好むのは賃貸派と推定できます。

 

 

4.他店を調べます

①競合他店はgoogleMAPでだいたい把握できます。

まずは、これらのお店に行って、自分で確かめてみることです。
できればチェックリストを作っていくと良いと思います。
また、出入り業者にいろいろ聞くのはもちろん、お客様にもそれとなく聞いてみます。

 

②既存にある様々な業種の店の分布を調べます

喫茶店、クリーニング店、コインランドリー、ラーメン屋、レストラン、蕎麦屋、婦人服店などをGoogleMAPで出していきます。できれば、実際に歩いていき、確認するのが良いともいます。

駅や公園など(主に駅)の人が集まる場所を中心に、幹線道路に沿って、遠くなるほどにどのようなお店があるかを見ていきます。
遠くにあるお店ほど、お得意さまで成り立っているお店です。
この地域では、どのようなお店がお得意様を集めているかがわかり、どのくらい駅から離れてのお店をやっていくことができるのかがわかってきます(生存限界点を出す)。

市域でやっていない業種のお店を出すのは、冒険です。
ニーズがあるのになかったのであれば繁盛しますし、以前に何回もお店が開いているのにみな撤退しているのであれば、今回も厳しいと思われます。

 

③どのようなチェーン店がいつ出店していたのかを調べます

大手チェーン店では、出店にあたり地域の地理、人口、住民の年齢層、仕事、所得、家族構成、歴史、文化(行事)などを調べ、統計解析やシュミレーションをやりどの商品をどう売れば売上が上がるのかを検討しています。

将来性のある場所にいち早く出店してきますので、その地域の将来性をどう見ているのか、大変参考になります。

まず、地域にどこのチェーン店があるのかをみていきます。
あさひ自転車、すかいらーく、ガスト、100円ローソン、仏壇の長谷川、ドトール、携帯会社、マクドナルド、牛丼屋、ラーメンチェーンなど。
その後、各チェーン店の会社のHPを見て、どのような人をターゲットとしているのかを確認します。
つまり、そのチェーン店は、今後そのターゲッ層の人が増えてくると考えているということです。

 

 

数字はその地域の今の状態を表しています。数字がいいところは調べればすぐにわかります、重要なのは地域の人との相性と地域の今後の方向性です。住んでいる方の性質を丁寧に調べ、チェーン店をみることで今後の方向性が予測できます。

それでも、調査と違うときがあります。その時には、来てくださっているお客様に合わせるしかありません。その覚悟はいると思います。

 

 

 

 

 

 

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工藤 英一

工藤 英一 について

Qualia-Partnersの代表の工藤です。ゼネコンの研究員から会社経営を経てコンサルタントになりました。自身の経験から、リピーターとの関係を深めお得意様を増やしていくことを強く勧めています。
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