新製品の価格と魅力的な価格の付け方

 

安くすれば売れるというわけではなく、安くし過ぎるとかえって売れなくなってしまいます。よく、お客様のニーズをよく調べ商品の性質を理解すれば、いくらにすればいいのか分かってくると言いますが、、、。売れないと困るので、ついつい安くしてしまいます。

 

そこで、簡単な方法をお教えいたします。

1.価格の設定方法

もちろん、高すぎても売れません。例えば、あるスパーで牛乳の価格表の売れ行きを見ると、172円と158円で一番売れ、172円より高くても158円より安くても売れません。売れる価格というものがあるのです。

価格には、上限価格と下限価格、妥協価格と理想価格があります。
そこで、お客様に下記の4つの質問のアンケートを取ります。そして、横軸を価格、縦軸をそう思うお客様累積人数の割合のグラフを作ります。※実際には、お得意様にアンケートをお願いしたり、ヒアリングをさせていただきます。グループインタビューでは、一つの意見にまとまっていってしまいますので参考にできません。

① この商品が高いと思うのは幾らからですか?
② この商品が高すぎて購入したくないと思うのは幾らからですか?
③ この商品が安いと思うのは幾らからですか?
④ この商品が安すぎて購入したくないと思うのは幾らからですか?

例えば、牛乳について「安いと思うのは幾らからですか?」と言う問いに対して、120円と答えた人が10人、130円と答えた人が7人、140円と答えた人が5人、150円と答えた人が3人とします。すると、120円以下では全員が安いと思っていますので120円で100%、130円では25人中15人(7+5+3)の方が安いと思っていますので60%、140円では32%、150円では12%となります。

このように、グラフを作っていくと、
・②の高すぎて購入したくないと思う線と③の安いと思う戦の交わったところが、上限価格、これ以上高くするとみんな買わなくなってしまう価格となります。
・同様にして、①の商品が高いと思う線と④の安すぎて購入したくない線の交点が下限価格となり、これ以上価格を下げると、みんな引いてしまい売れなくなってしまいます。
・また、①の商品が高いと思う線と③の商品が安いと思う線の交点が妥協価格となり、高いと思う人も安いと思う人も多い、判断に迷う人の多い価格となり、買うには決め手が必要になります。
・逆に、②の高すぎて購入したくないと思う線と④の安すぎて購入したくない線の交点が理想価格となります。高すぎず安すぎない適切な価格と言うことです。ですが、妥協価格と近い価格になりますので、実施には、判断を迷う人が多くなり、買うにはなにか決めてが必要です。

普通は、下限と上限の間で、下限よりに価格を設定します。

 

 

2.新商品の価格の設定方法

新商品の場合には、いきなり「宇宙旅行が1000万円。これは超お買い得です!」と言われても分かりません。それが安いのかどうかの判断のしようがありません。

そこで、なんとか基準を探し出します。

例えば、世界一周旅行と比較する人もいれば、スカイダイビングやバンジージャンプと比較する人もいるでしょう。もし、宇宙旅行が2泊3日で宇宙ステーションの宿泊であれば、オーロラを見に行く氷のホテル旅行と比較する人が多いのではないでしょうか。もし、半日程度のツアーであれば、一番高いハワイでのオプショナルツアーと比較する人が多いでしょう。

新商品の最初の価格は、お客様がなにと比較するかによって決まります。
「1.」の4つの線で価格を出すこともできますが、聞かれた人によって何と比較するかがまちまちなので、かなりバラケてしまい、どの価格で誰にアピールすればいいのかが分かりません。

①比較対象を聞きだす
そこで、新商品(宇宙旅行)を説明しながら、お客様が何(世界一周旅行やスカイダイビング)と比較するかを聞いていきます。
②妥当な価格を設定する
そして、なるべく多くのお客様が比較するもの(ここでは氷河を見に行く豪華客船旅行だとします)を基準とし、価格を設定します。
③価値が高いことを的確にアピールする
アピールは、オーロラを見に行く豪華氷のホテル旅行のアピールポイントの安心安全、豪華、冒険の3点と比較して行います。

 

 

3.魅力的な価格設定の方法

安心納得できるものを出せるのであれば、下限価格を下回る価格をつけると魅力的になる。
良いものを作れるのであれば、上限価格を上回った価格をつけると魅力的になる。

上限価格と下限価格の間の価格は、常識的な価格です。他のお店の価格を調べると、この範囲に収まっているはずです。多くのお店は、この範囲内で、”バリュー感=価値/価格” を高めることを競っています。価値を高めることができないと、価格を下げることになります。

もし、ずば抜けて高い、考えられないほど安いところがあれば、見に行くべきです。
高くても安くても、その価格では売れないはずです。それでも売れているということは、特別な理由があります。
この、ずば抜けて高い、考えられないほど安いという価格が魅力的な価格です。

本来なら、売れない価格ですが、気になる価格でもあります。
もし、100円牛丼があったら、どのような牛丼か知りたくなります。しかし、食べるには100円牛丼は本当に健康に大丈夫か?躊躇します。 吉野家や松屋が出したのなら、100円でも大丈夫でしょう。商店街のお店でも、テレビや雑誌で紹介されているのであれば大丈夫だと思えます。そして、実際にお店に行って食べてみて、味と安い理由に納得できれば毎週食べに行きます。

安心納得できて、初めて「めちゃくちゃ安いという価格」に魅力が出てきます。

 

高い価格自体が価値になっている商品があります。
ダイヤモンド、高級外車、高層マンションなど、持っていることがステータスになるものです。スターバックスやルノアールのコーヒーが100円だったら、、、。学生さんなどが来店することが多くなり、お店のステータスが落ちていき売上が落ちてきます。

ステータスを感じさせるものは高くなくてはなりません。高いほど魅力的になります。
1500万円のポルシェ996ターボが正規ディーラーで原価の800万円で売っていたら、会社がつぶれそうなのか? もう人気がなくなったのか?と勘繰り、ポルシェ自体の魅力が半減します。逆に、世界で数台しかないということで3000万円の値札が付いていたら、とても魅力的です。

高額セミナーも同じです。○○先生のセミナーに参加して特別なノウハウを聞いたということが、自慢です。ノウハウが使えるか、実践できるかは別問題です。レピピなどの子供のブランド服も同じです。安くすると魅力がなくなってしまいます。なかなか買えないのが良いのです。関サバや大間のマグロも同じです。対岸で買えば同じ魚が半値以下だと分かっていても、関サバや大間のマグロが良いのです。一澤信三郎のカバン、池田なませんの6個1000円の卵、池内タオルの風で織るタオル、確かに良いものですが、高い。高くて簡単には買えないから良いのです。

レストランでも同じです。お客様から腕が認められているお店であれば、一品、高い価格の高級料理(メニュー)を置いておきます。白トリュフや高級イタリア野菜などを使った逸品料理です。すると、この高い逸品料理が、他の料理(メニュー)やお店全体の価値を高めてくれます。普通のメニューの同じ1000円の料理でも、このメニューがあると価値が高いように感じてきます。この料理がステータスを生み出し、スパイスになっているのです。

良いものを作れるのであれば、上限価格を上回った価格をつけた方が魅力が出ます。

 

・お客様の価格の常識の範囲を理解することで売れないということを避けられます。
・他社よりも安心で納得感のあるものを作れるのであれば、お客様の常識を超えた低い価格をつけると魅力的になります。
・良いものを作れるのであれば、お客様の常識を超えた高い価格をつけると魅力的になります。 

価格設定は、お客様の常識との勝負です。

 

 

 

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工藤 英一

工藤 英一 について

Qualia-Partnersの代表の工藤です。ゼネコンの研究員から会社経営を経てコンサルタントになりました。自身の経験から、リピーターとの関係を深めお得意様を増やしていくことを強く勧めています。
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