人事考課の改善(中規模病院)

■ 約350床の長期療養型・老人医療施設の人事考課の改善

ヒアリングを各部の部長におこなったところ、以下の点が分かった。
・賞与評価は共通の表を使っているが、それとは別に各部が能力要件を増やした独自の評価シートを作成し使っている。
・賞与時の評価では表現が一般論的なものが多く評価が曖昧になる。3年目と5年目では同じ項目でも求めるレベルが違うはずであるがその基準が示されていない。そのため、賞与のための評価はするがフィードバックはおこなわれていない。C評価の場合にみ個別に面談をしている部がいくつかみられる。
・賞与評価で、一般職員の能力差を埋めるために使われており情意、実績、能力の評価が混在している。このため、賞与評価の育成的な効果は失われている。
・普通の会社では能力要件表にあたるラダーがないため、育成の目標が設定しにくくなっている。このことも、評価者が面談を避ける原因の一つになっている。

一次評価者のヒアリングから、以下のことが分かった。
・職員の不満の点は、自己の能力が評価されていない点にある。
・同じ勤続年数でも能力に差がある場合、その差を評価できる制度がない。
・中途採用されても今までのスキルが正当に評価されない。

 

問題は、
・ラダーが作られていないこと
・評価者が、情意、実績、能力の評価の区別や役割を理解していないこと
・昇格昇級の評価制度が整備されていないこと
の3点と思われる。

しかし、ラダーの作成は来年度初めになるため、今回の評価には間に合わないことが分かった。検討の結果、これからのことを考慮し、無理して能力差の評価をすることは見送り、育成のためのフィードバック面談を職員全員におこなうこととした。C評価以外のA評価、B評価の職員も面談がおこなわれ、より成長させるにはどうしたらいいのかという視点から評価者がアドバイスをできるようになることを目標とした。このため、能力差が評価されないことにたいする職員の不満は残ることになる。

そこで、このフィードバック面談をするという目標に対する納得性を高めること、評価表自体の改善をおこなった。
① フィードバック面談をするという目標に対する納得性を高めるために、人事考課者研修において話し合いの場を持ち、能力差の評価中心で行くのか育成中心でいくのかを評価職員たちに選択させた。その結果、育成中心でいくことに決定。
② 評価項目を評価者に評価者の言葉で出していただき、それらをアレンジすることで評価者が理解しイメージしやすい内容に変えた。また、各項目毎に具体的にどのような場合にB評価になるのかを作成し評価基準とした。
③一般職員向けとリーダー向けに2種類の評価表を作成、両者で項目や基準を変えることで評価者ごとの基準の差から生じる評価の差を少なくした。また、評価項目の中に、最低限の能力項目を加えることで、能力差がある程度反映されるようにした。
④評価がBに集中することを念頭に評価分布を作成し、適切に評価が分散するようにした。

 

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工藤 英一

工藤 英一 について

Qualia-Partnersの代表の工藤です。ゼネコンの研究員から会社経営を経てコンサルタントになりました。自身の経験から、リピーターとの関係を深めお得意様を増やしていくことを強く勧めています。
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