チームの雰囲気を良くするにはメンバー同士で褒めることをやり、リーダーへの信頼度を高めリーダーの考えを浸透させるには、リーダーがメンバーを褒めるようにします。実際には、両方をやります。たとえば、週の仕事始めの月曜日はリーダーがメンバーを褒め、火曜日から金曜日まではメンバー同士が褒める。その逆に、週の終わりの振り返りリーダーが褒める。というやり方もあります。
4.褒め方のポイント
・褒める覚悟をする
・スタッフひとりひとりに関心をもって心からほめる
・行動を見て具体的にほめる
・なるべくすぐにほめる
・人前でほめる。(朝礼、全体ミーティング)
・「ほめる」と「叱る」のバランスは7:3
・特に女性スタッフ(パートさんなど)には多く褒める
基本的に、店長はスタッフの長所を発見し、「こころから褒めよう」と覚悟することが大切です。
適切に褒めることができて、初めてスタッフから店長として認めてもらえるものです。
そのためには、スタッフひとりひとりに関心を持ってよく見ていることが必要です。
次に、各スタッフの良いところや行動を具体的に言うことです。
スタッフは、本当に見てくれているなら、具体的に褒められるはずだと思っています。逆に言えば、具体的に言えないと言うことは、見ていないんだと言うことです。
見ていないのにムリに褒めようとするから、抽象的なことになるんだと、わたしたちのご機嫌を取ろうとしていると思われてしまいます。
具体的に褒めることは、必須です。具体的に褒められないのなら、褒めない方が良いでしょう。
そして最後に、他のスタッフの前で褒めることです。
店長よりも一緒に働いている同僚の方が、スタッフのことをよく知っています。その同僚の前で具体的に皆が納得することで褒められれば、店長はスタッフ全員から認められます。
また、褒められたスタッフも、店長はもとより同僚からも認められた気持ちになれます。
さらに、店長がどのような行動をしてもらいと思っているのかを、間接的に伝えることが出来ます。
5.いろいろな褒める朝礼
1)和菓子メーカー「築地ちとせ」2009年
午前9時、全員で経営理念や社是を唱和した後、司会役のスタッフが訓話を読み上げる。
司会役はスタッフ全員の持ち回りになっています。
司会役は訓話を読み上げた後、内容を自分の体験に置き換えて語り、そして今後はさらに努力するとみんなの前で決意を表明します。
その後、工場長が司会役について、司会役の仕方や朝の話、日ごろの働き方などについて、具体的な点を挙げて徹底的にほめていきます。
2)和菓子メーカー「築地ちとせ」2010年
毎日朝礼のリーダーを決めます。
リーダーは、その日の訓話の項目に沿って自身の体験と目標を発表します。
発表終了後、リーダーが発表者へコメントするスタッフを2名指名します。
指名されたスタッフは、朝礼リーダーを褒めなければなりません。
褒める内容は、朝礼の話し方でも表情でも仕事のやり方でもなんでもかまいません。
アドバイスも禁止です。とにかく褒めることに徹しなければなりません。
3)茅ヶ崎 辻堂 美容室 Ants
アンツ本店の朝礼では、6つの役割を決めて朝礼を盛り上げるようにしています。
役割は、毎日くじ引きで決めます。
・進行役
・みんなを褒める役
・声出しリーダー
・今日の意気込みを言う役
・今日の小話を話す役
・「ヨッ!」 と、合いの手を 打つ役
進行役によって、その日の朝礼の雰囲気が変わり、合いの手を打つ人は常に盛り上げなければなりません。
そんな、雰囲気の中で、褒め役がみんなを毎日褒めます。
4)お互いに褒める朝礼をしている飲食店
スタッフが2人一組になります。
組み合わせは、なるべくホールとキッチンがペアになるようにしたり、担当部署どうしなど目的を考えて組みます。
お互いに、良いところを1分間考え、みんなの前で褒めあいます。
「田中さんは、みんなにやさしいところが素晴らしいです」
「佐藤くんの元気な返事は、聞いているだけでこっちも元気になってきます」
これを続けることで、同僚のいいところを見つけられるようになりお店に活気が出てきています。
5)建築工房零
ここでは、王様ゲームのようなやり方でやっています。
割り箸の先に、緑と白のテープを巻いたものを作ります。
割り箸の先に緑のテープが巻いてある割り箸を引いた人が白いテープを巻いている割り箸を引いた人を褒めます。
まるで王様ゲームのようです。
だんだん慣れてくると、なんとか白いテープを巻いた割り箸を引こうとするひとが出てきます。
6)マシン三洋
機械工具や工作機械を扱っている技術商社です。
毎日スタッフが持ち回りで、朝礼当番を担当しています。
ここでは、この朝礼当番を全員で褒めるようにしています。
褒める内容は、髪型でも声でもスタイルでも段取りでもなんでも構いません。
7)株式会社加賀田組
先に出た飲食店のように、社員同士が2人ずつペアになって、相手のよいところを褒め合います。
褒める内容はなんでも良く、「床屋に行ってさっぱりしていて良いですね」「作業着がいつも洗濯していてきれいですね」など仕事に関係ないことでも構いません。コミュニケーションが良くなることを狙っています。建設会社や工場では、事故の発生率を考えるとコミュニケーションは、非常に重要になってきます。
6.知りもしないで褒めるのは逆効果
SEIYUは、2007年にウォルマートの完全子会社になりましたが、朝礼のスタイルも一新されました。
セイユーチアースという、唱和とダンスの組み合わせたものと一緒に、褒めることも取り入れられました。
褒める方法は2つです。
・成功例を褒める
・お客様の声で褒めていただいたスタッフを褒める
成功例では、「○○売り場ではこうして売り上げを伸ばしています」
お客様の声では、「『あなたの笑顔にいつも元気づけられる』と、レジの○○さんにお客さんからお礼の手紙がきています」と褒めます。
成果や頑張りを認め褒めることで、朝からやる気を引き出すことが狙いです。
この褒め方は、理にかなっています。
店長が、毎朝、本人に面と向かって具体的に褒めるています。
また、スタッフが、お客様に、手紙で、努力し続けていることを褒めていただいており、非常に効果的です。
また、結果のみでなく努力が褒められることで、チャレンジする態度が育成されてきます。
しかし、お客様の声を使うことには問題もあります。
スタッフが、自分を褒めるお客様の声を自分で投書をするようになるのです。
もし、店長がそれを見抜けないでそのままみんなの前で褒めてしまうと、リーダーとして見られなくなってしまいます。
同僚の方がよく見ていて、「このひと自分で投書してんじゃないの」とうすうす感づいています。
それに感づかない店長は、スタッフを見ていない証拠になってしまうのです。
自分を見ていない店長のためには働かない、言うことを聞かない、といった悪循環に入ります。
店長には、日頃からちゃんとスタッフの良いところを見ておいて、自分で褒めたいところを「お客様の声」を利用して褒めるといったスタンスが必要です。
また、意外なお褒めの投書がきたら、その褒められているスタッフを観察してその裏を取る必要があります。
もし、投書が正しかったら、すぐに褒めなければなりません。
この場合には、お客様にスタッフの見るべきところを教えていただいたと言うことになります。
店長がスタッフを褒めることは、ちゃんと見てやればメンバーの信頼を得チームをまとめますが、たいして見もしないで褒めてしまうとメンバー全員からの信頼を失ってしまいます。
■ 褒めるということは「切れ味の良い両刃の剣」なのです ■ |
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