新商品開発 第4章1)新商品開発でどのコア技術を磨けば良いのでしょうか?

新商品開発の技術は、快感を実現するためにあります。お客様がどのような快感を得たいのかを具体的に妄想し、その実現にはどの技術が必要なのかを見極めることが、すごい新商品作りの基本です。

 

第4章 すごい製品を開発する

1)新商品開発といってもどの技術を磨けば良いのでしょうか?

ヒットする新商品開発の要は、
「使ってみたら誰もが感動して嬉しくなる素晴らしい使用感を思い描くこと」
と話しましたが、ここではその使用感を実現するコア技術を見いだす方法を解説します。

 

 

コアバリュー

①商品は中心から下記の3つの階層に分かれています。

コアバリュー  =その製品を手に入れることで実現される中心的な便益(ベネフィット)。
コア技術    =コアバリューを実現する上で欠かすことのできない要素
サブ機能    =コアバリューのUPに貢献しながら商品の魅力を増す要素

 

例えば、「ノンワイヤーブラジャー」の場合には

コアバリュー → リラックスできる下着
コア技術   → 綿100% 肌にあたる部分の縫い目を減らす
サブ機能   → 色、サイズ、箱、返品修理、お手頃価格、自宅で洗濯できる

となります。

「ブラジャーをつけているという負担感を減らすためにはどうすれば良いか?」を考え抜いた結果です。

 

「プラスチックの刃を金属刃に変えたセロハンテープ」では、

コアバリュー → まっすぐきれいに切れて貼っても目立たない
コア技術   → プラスティックのボディーに金属の刃をつけたこと
サブ機能   → 安全性、価格据え置き、サイズ、巻き数、幅、形、色

となります。

「セロテープをきれいに切れるようにし、貼っても目立たなくするにはどうしたら良いのか?」を考えぬいた結果です。

 コアバリューを高めるために使われるのが、「コア技術」です。

 

②どの技術を高めれば良いかが分かりません

製品と商品とは大きく違います。

商品は売ることを前提としていますが、製品では基本機能重視です。

この基本機能をコア技術で徹底的に高めていくのが製品化です。

そして、これが商品としての価値を底上げし、大手企業との競争に勝つ原動力になります。

 

しかし、お客様がその新商品を使ってどのようなことを得ようとするのかを上手く推定しないと、どの技術を高めれば良いかが分かりません。

例えば、美味しいケーキといっても、毎日子供と食べたいと思っている30歳のママさんと彼氏とディナーの最後に食べたいと思っている23歳のOLさんとでは、求めている美味しさが違います。

求めている美味しさが違うので、必要な材料や料理技術も違ってきます。

いくら都心の有名店に負けないぐらい凝ったケーキを作っても、毎日子供と食べたいと思っている30歳のママさんには、「毎日はいらないわ、買うなら○○のお店ね」と言われてしまうわけです。

 

 

③また、業種によっても求められていること違います。

求められていることは、病院であれば治す技術、定食屋なら飽きの来ない味と負担のない価格、高級レストランなら非日常丁な感動体験です。

定食屋で最高に美味しい2000円のA5クラスの神戸牛のハンバーグを出しても喜ばれません。

高めるべきは、合い挽きの安い挽肉を霜降り肉の挽肉のように美味しくする技術です。

 

「自社の技術や材料」、「それで生み出せるコアバリュー」、「お客様」の3つをマッチさせ、徹底的に技術を向上させることが重要です。

三角関係

 

④難しいのはプリウスのようなステータスを売っている商品です。

image

 

例えば、ルノーのイメージは「フランス風小粋でファッショナブル」、ボルボのイメージは「鉄板が入りの防弾チョッキ」です。

プリウスのイメージはというと、「自然環境にやさしい最高技術の結晶」です。

しかし、プリウスの車自体の基本性能は高くありません。

ハンドリング、ドアの閉める音、広さ、内装の質感、後方の視界など、どれをとってもカローラに劣っています。

つまり、買った人は「イメージ」、、、「ステータス」を買っているのです。

■プリウスの3層■
コアバリュー ステータス(環境に優しい、最新感(デザイン、凄い技術、売れ出すまで頑張った))
コア技術   ①コンパクトなボディ設計 ②新しさを感じさせるデザイン ③最先端の技術、高燃費(環境にやさしい)
サブ機能   ①97年の東京モーターショウで一番の話題 ②カー・オブ・ザ・イヤーをはじめ様々な賞をとる

 

⑤プリウスのステータスをUPさせるにはどの技術を磨けあげれば良いのでしょうか?

燃費が上がれば喜ばれるかもしれませんが、ステータスは上がるのでしょうか?

もしかしたら、技術よりも賞などを獲ることの方がステータスを上げるのかもしれません。

その場合には、デザイン性を高める方が効果的で、上げるべきコア技術はデザインになります。

 

 


全国商工会議所用小冊子WEB版 「新商品新サービス開発&販路開拓」  目次
第1章 新商品開発の非常識
1)他人が欲しがるものが新商品
2)スティーブジョブスのすごい妄想力?
3)買って使って感動してまでが新商品開発です
4)本当に良い新製品を開発できたと思ったらアメリカで売りましょう
5)新商品のこえるべき3つの絶壁
6)いくら宣伝しても「売れない商品」は売れません
第2章 新商品の販路を切り拓く
1)9つの販路開拓成功物語
2)販路開拓の基本のキ
3)バイヤーに会う方法と小売店に直接売り込む方法
4)東急ハンズとロフトのバイヤーへの売り込み方
5)バイヤーは常にヒットの芽を探しています
6)ヒットするのはバイヤー目線よりお客様目線
第3章 新商品のコンセプトを作る10の方法
1)トレンドを無視してヒット商品はつくれない
2)新商品を開発するときの3つ基本戦略
3)不満・悩みから新商品を考える方法
4)ヒット商品から新商品を考える方法
5)他人のアイディアから新商品を考える方法
6)「変わった使い方をしている方」を見つけて新商品を考える方法
7)ヒットのパターン例から新商品を考える方法
8)オズボーンのチェックリストを使って新商品を考える方法
9)新サービスのコンセプトの作り方
10)キーワードから新サービスを考える
11)最も強力な新商品の開発方法 「すべて真似る」
第4章 すごい製品を開発する
1)新商品開発でどのコア技術を磨けば良いのでしょうか?
2)定食屋さんやケーキ屋さんの新商品開発のコツ
3)常連さんを増やすことをダイレクトに狙った新商品の開発方法
4)新サービス開発を成功させる要
5)ヒットメーカーはすごい技術を外から持ってくる
第5章 すごい製品をヒット商品に仕上げる
1)製品を売れる商品に作り込んでいく
2)90点になるまで絶対にあきらめない
3)新商品のネーミングと隠喩
4)短時間で簡単に誰でも良いデザインを作る方法
5)新商品に高い信頼性をつける
6)正しいお客様をとことん楽しませ話題を作ります

 

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工藤 英一

工藤 英一 について

Qualia-Partnersの代表の工藤です。ゼネコンの研究員から会社経営を経てコンサルタントになりました。自身の経験から、リピーターとの関係を深めお得意様を増やしていくことを強く勧めています。
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