サイレントクレームを集める方法  基礎編「まず、言われやすくなる!」

サイレントクレームを集める方法はいろいろありますが、スタッフがクレームやクレーマーに恐怖心を抱いているままでは、どんなことをやっても上手くいきません。まず、店長がスタッフを守り、信頼感を高めましょう!

 サイレントクレーム

 

1.クレーマーに対する恐怖心をなくす

1)方法は3つ

当たり前のことですが、なかなか本音をいってくれないお客様から、サイレントクレームを引き出すのは簡単ではありません。
まず、ベースを作らなくてはなりません。それは、「言われやすくなる」ということです。

しかし、単に言われやすくなっただけでは、ボコボコにされ半年先には鬱になってしまいます。
本当の意味で言われやすくなるためには、お客様と対等の関係を作る必要があるのです。

お客様と対等の関係を作る第一歩は、お客様に対する恐怖心をなくし自然体でいることです。
自然体の人には話しかけやすいものです。

 

しかし、今までむちゃくちゃなことを言われてきた私たちは、そう簡単にお客様に対する恐怖心をなくすことはできません。
権限もありません。それなりの環境が必要です。

クレーマーに対する恐怖心をなくす方法は3つ。
①責任を課さない。すべての責任はその社員を採用し配属した社長にある。
②権限を持たす。 弁償や商品の交換など一定の権限を持たせ、自分の采配でクレームを解決させ自信を持たせる。
③リーダーが守る。リーダーは、スタッフがクレーマーから人格的に酷いことを言われていたら守る

長期間売上を伸ばし続けている会社は、従業員にクレームの責任を追及したり負わせたりすることはしていません。
しかし、一気に裁量権を持たせると濫用することがあります。クレーム会議などで裁量権の使い方を学ばせながら、徐々に裁量権を大きくしていくことがポイントです。

 

2)最も大事なことが、店長がスタッフを守るということ

よく、クレームがくると店長が出ていってカッコよく解決してしまいますが、これが現場を悪くします。

店長を呼ぶ前に、スタッフはお客様から
「あんたなんかと話をしてたらアホになる。一回病院行ってこい。とっとと店長呼んで来い。」
などと、人格を否定するようなひどいことを言われているものです。

なのに、後から来た店長が、スタッフが酷いことを言われたことには一切触れず、クレームを自分の権限で解決してしまうのです。

散々酷いことを言われていたスタッフにしてみれば、
「店長が対応すれば上手く行くんだから、はじめから店長がやればいいのよ」
「どうせ私が話しても、バカにされるだけだから」
と思って当然です。

次から、お客様がなにか言おうとしただけで「店長を呼んできますから」と無関心な一言を返すようになってしまうのです。
(池袋で店を開いていた時も、難しいクレームの対応を私ばかりがしていたら、いつの間にか店長代理がクレーム対応を全くしなくなってしっまたものです。)

 

もし、
スタッフがお客様から「人格を否定するようなひどいこと」を言われたら、まず、店長は出ていって店員を守ることです。
「お客様、申し訳まりません。しかし、お客様も言い過ぎだと思います。これ以上はご容赦願えますか。」と、店長がお客様にちょっと一言釘を刺すだけでスタッフからの信頼感がグッと上がります。

 

 

2.するべきことをして対等になる

恐怖心が和らいだら、次は自信をつけます。
自信を持つのに、お客様に対し、するべきことはしている、できる限りのことはしているという自負心を持つことです。

私たちは、毎日毎日、当たり前のように、世界最高レベルの接客をしています。
しかし、本当の意味でお客様のことを第一に考えているとはいえません。

・お客様が自店に置いていない商品を買いに来たら、「ありません」といって済ませていませんか。
・レシートがないと全部返品を簡単に断っていませんか。
・「みなさんそうしていますので」と、お客様の要望を聞くことさえ避けていませんか。

売上にならないから余計なことは教えない、返品はお金が出ていくから極力断るもの、いちいちお客の事情に合わせていたらきりがないものです。ましてや、下手に返品を受け付けてしまったら店長に怒られます。

しかし、私たちは、本来、お客様個別の事情を汲んでできるだけなんとかしてあげたいと思っているものです。

また、ただでさえお客様はお店に入ったらなにか買わなければいけないとビビって声を掛けてもらいたくないと知っているのに、「お似合いですね」とか「それ今人気なんです」とか、声掛けをしなくてはいけません。

私たちは、お客様にしてあげるべきことをしてあげないで、嫌がられることばかりしている、そんな引け目を持っている人も少なくないと思います。

 

お客様と並んで同じ方を向いて、一緒になんとかできないか考えていく。そんな、対等な関係を作りたいものです。

 

 

3.お客様にしてあげた方が良いなと思っていることをすると本音を言ってくれる

・お客様が自店に置いていない商品を買いに来たり、品切れしていたりしていたら、近くでその商品を置いてありそうな他の店を探してあげましょう。
・レシートがない商品でも、買った人やその商品を見て自分のお店で売ったんだと分かったら、レシートがなくても返品は受け付けるようしましょう。
・小さい子供やお年寄りを抱えているなど、お客様に特別の事情があるのなら、話を聞いて、なんとかできないか考えましょう。

こうしただけで、お客様との関係が全く変わってきます。

 

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週に1回、中小企業診断士の仕事の一つとして市役所で融資や経営の相談係をしていました。この仕事は、書類の集め方や作り方で結果が違ってくることも多く、クレームが多いことで有名でした。そこで、わたしは、「とにかく、相談に来られた方がなんとか保証協会に書類審査だけでも受けられるようにしよう」と思って、相談にのりようにしていました。

書類や日程など様々な制約がある中、書類不足があってもなんとか他の書類で代替できないものか、保証協会まで少ない日数で書類が回るようにできないものか、いろいろ知恵を絞ったり他の部署に相談したりしました。例え、可能性がないと思っても、上司や他の部署に掛け合ったものです。

すると、この努力をしている様子を相談者が見ており、たとえ結果が駄目でも納得してくれました。逆に、お礼を言ってくれる方もいらしたぐらいです。そうしていると、品揃えやメニューなどについてなど、融資以外のことについてもいろいろ相談してきたり、本音を言ってくれます。

もちろん、ウソをついてくる相談者もいました。その場合には、上司に掛け合うポーズだけして、悲しそうな顔をして「駄目でした・・・」と報告し、帰っていただいていたものです。

つまり、私が来る前の相談者の不満の多くは、規則に対してのものではなく、駄目なものはダメとはじめからはじく担当者の態度に対してのものだったのです。

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4.”クレーマーに対するマイナスイメージ”を変えることも大事です。

1)なにも文句を言わずに黙って去っていくお客様の実態を知る

“いかに陰で多くの知人や友人に言いふらしているのか”、それを意識できれば、自然と、クレームを言ってきてくれるお客様に感謝の気持ちを持つようになります。

クレームを集めようとする時、よく、店内にクレーム対応の実績を貼りだしたりクレームノートを設置したりするなどして“クレームを歓迎しています”といった雰囲気を演出しますが、これらのテクニックが生きてくるのは、現場の従業員の気持ちや考え方次第なのです。

 

2)お客様のクレームを生で体験しておく

ある会社では、社員が、カスタマーセンターへのクレームの電話を生で聞いたり、クレーム対応に参加することをこなっています。これによって、お客様が感じているであろう問題点や不平・不満などを身をもって知ることができます。

実際に生のやり取りをその場で体験するからこそ分かることは多いのです。
頭で理解するのではなく、不満に思っているお客様、怒っているお客様にできるだけ近いところで接することで、お客様の気持ちを感じ取ります。

単なる怒りではなく、怒りの向こうにある気持ち、
「本当に困っているのだよ」「なんとかならないか」「なんでちゃんと対応しないんだ」「なんとかしようという気はあるのか?」

すべてのお客様がそうではありませんが、多くのお客様がこのような気持ちを抱いています。
そういった気持が感じ取れれば、単に「怖い、逃げよう」から一歩踏み込んで、「対応してあげよう」と意識が出るかもしれません。

すると、
・お客様の抱える問題の根本を理解し、
・お客様のニーズを先取りし、
・問題の発生を回避する方策を思いつける
ようになってきます。

 

スタッフはお店の売上を上げたりリピーターを獲得する最大の武器です。
お客様の不満を肌で感じ一番知っているのもスタッフです。
サイレントクレームを引き出せるかはスタッフにかかっています。しかし、クレーマーが怒り心頭の時に文句を言われるのもスタッフです。店長が、一定の権限を持たせたり守ることをしなければ、スタッフは裸のままクレーマーに殴られ続けているようなもので壊れてしまいます。
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工藤 英一

工藤 英一 について

Qualia-Partnersの代表の工藤です。ゼネコンの研究員から会社経営を経てコンサルタントになりました。自身の経験から、リピーターとの関係を深めお得意様を増やしていくことを強く勧めています。
カテゴリー: クレーム パーマリンク

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