正しいクレームの言い方、付け方

もしあなたが、「正しくクレームを言いたい」と思っていたら、冷静です。怒鳴ってスッキリすることよりも、得たいものがあり、それを得ることを第一に考えているからです。正しいクレームの言い方とは、正しい交渉の仕方なのです。だから、相手を交渉に引き込むことが基本となります。

クレーマーをリピーターに変える3つのステップ

クレーマーをリピーターに変える3つのステップ

「クレーマーをリピーターに変える3つのステップ」という本を出版したので経営者向けに講演をしているのですが、意外なことに、相談が多いのがクレームの言い方を教えて欲しいと言うことでした。 そこで、今回の記事を書くことにしました。

 


 

1.なぜか文句を言いたくなる

以前、池袋でお店を経営していたとき、よくクレームを言われるスタッフがいました。

料金や修理の種類、金額や期間、預かるもの、教えていただく個人情報などはすべて決まっていて、だれが受け付けても同じ処理になるようにしていました。

なのに、そのスタッフだけ、「そんなに時間が掛かるの!」「○○はまけてくれてもいいでしょ」と文句を言われることが多いのです。他のスタッフだと、「思ったより時間が掛からないんだね」「よろしくお願いします!」と、言われるんですが、、、。

 

 

2.頭にくる店員さんの特徴

1)否定言葉が多い
お客様が話すことに対して、「でも」「いや」「ですが」「そうでは無く」など否定的な返答が多い。

2)はっきりと言い切って伝えない
「自社で出来ること、出来ないこと」「時間や価格などについて見込みさえも答えられない」「今答えられなければ、いつなら答えられるかも分からない」と分からないことばかり。自店のことについてなのに知識がなさ過ぎる。また、調べたり上司に聞いたりしようともしない。

3)話を遮る
お客様が一生懸命話しているのに、途中で「分かりました」などと言って、話を遮り、自分の言いたいことを言い始めてしまう。

4)見下している
何となく、心の奥で小馬鹿にしているような感じがする。 「こんなことも知らないの」「どうせ自分の不注意で壊したんでしょ」とか心の中で思っているのが分かる。

5)ごまかす
何回説明しても、結局、同じ話ししかしない。 何回も説明しているので話を聞いていないはずはないので、結局、「出来ない」「分からない」を言わないようにごまかそうとしているだけに思える。

6)マイペース
こちらは急いでいて本当に困っているのに、マイペースでしか対応しない。落ち着いて対応することと、こちらを無視することが混同されている気がする。

 

 

3.クレームを言う目的と気持ち

普通、クレームを言う目的は、「こちらの損害をすぐに修復してもらうこと」や「困っていることを助けてもらうこと」で、合理的なことです。

しかし、同時に、クレームを言うからには気持ちというものがあります。
「なんでそうなるの」「いい加減にしてくれ」「俺を馬鹿にするな!」「商売するなら少しは気を配れよ!」「謝って当然だろ」 などいろいろあります。

わたしたちは、クレームを言うとき、この気持ちの解消を先にしてしまいがちです。しかし、そこをグッとこらえ、目的達成を先にするのがクレームをうまく言うコツです。

欧米では、「クレーム」とは一種の主張のようなもので、改善要求や代償要求です。なにかトラブルがあったときの、解決のためのコミュニケーションの手段の一つなのです。謝罪は二の次で、日本ほど重視されません。

反対に、日本では「クレーム」があると、謝罪を第一と考えます。「とにかく謝れ!」となります。謝らないと、自分の存在自体が無視されたり軽く見られているような気持ちになります。

この気持ちが、クレームを上手く言うことを邪魔しているとも言えるんです。

 

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4.よくみるダメクレーム

自分の存在自体を重視しろと言う気持ちは、「言わなくても察しろ!」という日本人特有の考えに基づいています。

上司が部下に要求しているようなことです。
わたしが会社員の頃、営業部の課長に、最初に「俺が何をして部長とどんな話をしているのかを常に聞いていろ!」と言われたものです。

1)大声で怒鳴る
いくら正しいことを言っていても、他人が見ている場で大人を怒鳴るというのは、あり得ないことです。

2)肩書きを使う
最近はいませんが、少し前には、「俺は○○の部長なんだ、ここもうちと取引しているんだから、、、」と半分脅かしてくる人がいました。

3)「ネットに書くず」と脅す
これも同じです。頭にくるのは分かりますが、これを言った時点で負けているようなものです。

4)しつこく何度も同じことを偉そうに言いまくる
最近は、お年寄りに多く見られます。日頃、邪険に扱われている鬱憤を晴らしているな風に見えてしまいます。

 

 

5.正しいクレームの言い方

ただスッキリしたいのであれば、怒鳴りつけるのも良い方法ですが、何かを得たいのであれば正しくクレームをつけてなければなりません。少し有利なところからスタートできる交渉のようなものと考えるのが良いのではないでしょうか。

1)感情的にならない
これは基本中の基本です。感情的にまくし立てるのは良いのですが、状況の説明が出来ません。また、怒りにまかせて話を誇張すると、あとからばれて、クレーム自体信じてもらえなくなりかねません。

2)相手を非難する言い方はしない
ついつい話が進まないと、対応している目の前の人に「何回言っても分からないひとだね。上を呼んでこい!」と言いたくなりますが、その言葉をグッと飲み込み、解決方法などを提案などしてみて解決の糸口を探します。

3)謝罪を求めない
これも同じです。相手が謝るのは当たり前ですが、「謝れ!」と言うと相手が頑なになってしまい、協力してもらえなくなります。逆に、「謝れば良いんでしょ」的に開き直られても困ります。問題を明確にして、協力して解決していくことがわたしたちにとって一番必要なことです。

4)クレームを言う時「相手はよい人で協力的である」と思って話す
相手の人を酷い人だと思っていると、どうしても攻撃的になります。こちらが攻撃的だと、相手は自分を守るために逃げるか攻撃してきてしまいます。相手の気持ちのドアが閉まったままになってしまいます。そこで、「こんなことが起きたのは、相手が見落としているのか、難しくて上手く出来なかったのかもしれない」と想像しながら話します。

5)「あなたの責任ではないことはわかっているけど」を多用する
スタッフは、お客様と店長の板挟み、店長もスタッフと上との板挟みです。その中で、頑張ってやっているわけです。そこで、「あなたの責任ではないことはわかっているんだけど、これ○○でしょ、○○だったのでとてもがっかりしたんです。ほらね。」みたいな感じで、相手にこちら側に立ってもらう言い方をします。

6)権限のある人に話す
権限をもっていない人にいくらクレームを言ってもなにも出来ません。権限を持って対処できるいる人を読んでもらうか探し出しましょう。店長しか対処できないのに、店員に文句を言ってもただ謝られるだけです。単なる弱いものいじめのクレーマーになってしまいます。

7)冷静に自分の考えを伝える
自分の状況を正確に伝え、何がどう困って居るのかを、相手に理解してもらうことが最初です。理解されれば、気持ちも理解してもらえるかもしれません。

8)相手側に非があるときにはその根拠となる事実を示す
たとえば工事現場の誘導ミスで車をぶつけたとき「あんたのせいでぶつけたんだよ!」ではなく、「ガードマンが○○と誘導したのでこちらに車を回したんですよ」、「工事の看板がなかったからこちらを通ったんです」など、事実を伝えること。

9)相手も受け入れられる具体的な解決策を提示する
クレームをつける場合、事前に自分の中で何を達成(得たい)したいのかを、明確に持っておくことが必要です。謝罪が欲しいのか、代替品が欲しいのか、賠償金が欲しいのか、、、。その上で、正確に事実に基づいて自分の言い分を伝え、次に相手の言い分を聞きながら、落としどころを考え、具体的な提案をします。頭にきて強引に自分の要求を押し通そうとするほうが、損をすることも少なくありません。

10)金銭が絡む場合、事前に法的にも常識的にも適切な要求範囲を知っておく
最初、クレームを入れる方が立場は強いと言えますが、過剰要求をしてしまうとただのハードクレーマーになってしまいます。問題は、適切な要求範囲がわたしたちが思っているものと違う場合があることです。たとえば、クリーニングで服をダメにされた場合、どんなに思い入れのある大切な服でも古着としての価値しかありません。慰謝料や新品買い換えのための賠償金はもらえません。そこで、消費者センターや裁判の事例を事前に見ておくことやセンターに電話相談しておくことが必須です。

 

面白いことに、正しいクレームの言い方を突き詰めていくと正しいクレーム対応と同じになります。どちらも、感情的にならず、事実に基づき過剰にならない適切な要求が落としどころとなります。実は、そこからが勝負となります。クレームに対応する方としては、クレームを言ってきたお客様をリピーターにすることを、クレームを言ってきたお客様側にしてみれば、無理なくもう一歩自分に有利な要望を実現することが理想です。→ 相手から良い条件を引き出すクレームの言い方

工藤 英一

About 工藤 英一

Qualia-Partnersの代表の工藤です。ゼネコンの研究員から会社経営を経てコンサルタントになりました。自身の経験から、リピーターとの関係を深めお得意様を増やしていくことを強く勧めています。
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